夏の甲子園特集-全49代表徹底分析- 高校/中学野球

北海道・東北地方-夏の甲子園全49代表-

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北北海道 旭川大高 3年ぶり10回目の出場

現校名最後の甲子園出場

昨秋と今春では、旭川地区敗退という結果だったが、ここから目を見張るような這い上がりを見せたチームだ。

投手陣は2枚看板である、山保と池田が引っ張る。山保は最速143キロの大型右腕で、春のセンバツに出場したクラーク国際との準決勝では6安打2失点で完投といった圧巻のピッチングを見せている。

直球には角度があり、打者をフライアウトに取ってねじ伏せていく投球が印象的だ。また、5試合で防御率0.56と安定した数字を出している。

そして、2枚看板のもう一人でエース右腕の池田は、旭川東との決勝戦で6安打1失点の好投を披露し、完投している。

池田の投球スタイルは、5試合で2四死球といった抜群の制球力と多種多彩な変化球が武器になっている。

打撃においても、中軸を打つ山保がけん引している。山保は全試合で安打および打点をマークし、チームで一番の打点をあげている。

この春から、投手登板がない際は外野手として打撃でチームを盛り立ててきた。この二刀流の活躍は甲子園でも必見である。

また、チームとして「1点にこだわる野球」を徹底しており、スクイズやセーフティーさらにはプッシュまでバントを用いた機動力野球も魅力的である。

系列の旭川大学が来年4月に市立となるため、高校名も「旭川志峰」に変わる予定で、旭川大高としての戦う夏は最後となる。

甲子園では、前回・前々回と1点差で惜しくも敗れている。「旭大高」ブランドを背に甲子園で校歌を歌えるかどうか注目である。

2022年夏 北北海道大会結果

旭川地区2回戦:8対1 富良野、地区代表決定戦:6対0 旭川工、1回戦:5対0 帯広緑陽、準々決勝:7対5 白樺学園、準決勝:4対2 クラーク国際、決勝:7対1 旭川東

南北海道 札幌大谷 初出場

全6試合で93安打64得点の超強力打線

創部14年目で初めて勝ち取った夏の甲子園。悲願の甲子園を決めた要因は、圧倒的な打撃力にある。

全6試合で93安打64得点。地区代表決定戦から2ケタ安打を5戦連続でマークするといった強力打線が魅力である。

特に、準々決勝で対戦した昨夏代表の北海戦では、先発全員安打で南北海道では最多タイとなる22安打を記録している。

その後の準決勝で対戦した苫小牧中央戦では、最速151キロ右腕でドラフト候補の斉藤優汰から5回までに10安打7得点で打ち破っている。

また、決勝の知内戦では、同じくドラフト候補で最速147キロ左腕の坂本拓己から7回10安打5得点と圧倒的な打力を披露している。

1番から4番までのクリーンアップは全員打率4割越えで、特に2番の樹神はチーム一の打率.625とあたりに当たっている。

投手力においても、力投派左腕の森谷が6試合39回を投げて17安打32三振6失点で防御率0.69と安定した数字を見せている。決勝戦では8与四死球と制球面での課題が露見したが、地区代表決定の札幌静修戦では自己最多の15奪三振を記録しており、三振が取れる投手である。

森谷は1年時から公式戦での登板経験があるが、制球に課題があり自滅してしまうことがあった。

ただ、冬場のトレーニングを経て球速は最速で148キロまで伸び、変化球はスライダー以外にもさらに3球種増やした。

19年春のセンバツ以来の勝利に一戦必勝で挑む。

2022年夏 南北海道大会結果

札幌地区2回戦:4対1 石狩南、地区代表決定戦:12対0 札幌静修、1回戦:12対4 札幌北、準々決勝:19対0 北海、準決勝:10対2 苫小牧中央、決勝:7対2 知内

青森 八戸学院光星 3年ぶり11回目

悲願の東北勢初優勝を狙う

僅差で勝ち抜いた青森大会。初戦こそ青森西に7回コールド勝ちしたものの、その後は接戦が続いた。

準決勝では昨夏代表の弘前学院聖愛にサヨナラでの勝利。決勝の八戸工大一戦では、6対0から追い上げられ、9回に二塁打3本で1点差まで詰め寄られた。この痺れる場面をエースで主将を務める洗平歩人が弟の洗平比呂からマウンドを引き継いだ。そして、八戸工大一の猛攻を抑えて勝ち切った。

春の青森大会で5割以上の打率をマークしていた1番佐藤と2番井坂がともに打率1割台に沈んでいる。このリードオフマン達の復調が甲子園で勝ち進むための鍵になってくるだろう。

ただ、その中でも打線を牽引したのが順々決勝と決勝で本塁打を放ち打率5割をマークした5番の織笠と打率.455をマークしている4番の野呂。さらには、決勝の舞台で3安打を放った3番の中澤を含めたクリーンアップの活躍があった。

また、投手陣も豊富で登録メンバー中6人が投手を務める。決勝戦ではその6投手全員を注ぎ込むまさに総力戦となった。右の本格派である洗平歩人、パワー系の宇田、強心臓の富井、技巧派の吉田、さらには左腕の渡部と洗平比呂がいる。この6投手の継投にも注目したい。

まさに総力戦で挑む夏。東北勢初の悲願達成に期待したい。

2022年夏 青森大会結果

2回戦:8対1 青森西、3回戦:2対1 弘前東、準々決勝:7対4 東奥義塾、準決勝:3対2 弘前学院聖愛、決勝:6対5 八戸工大一

岩手 一関学院 12年ぶり7回目

ノーシードから12年ぶりの甲子園へ

昨秋は県の2回戦で敗退、今春は一関の地区予選敗退と公式戦ではなかなか勝てずにいた。

しかし、地区予選以降高橋監督による打撃の意識改革を行い得点力がアップした。

打撃改革が成功したのか、練習試合でもあまり出ていなかったという本塁打が初戦から準決勝まで5戦連続で飛び出し、計10本をマークした。

その中でも4番の後藤3試合連続の本塁打を放ち、打線をけん引している。

昨秋王者で、佐々木麟太郎擁する花巻東を準決勝で下した盛岡中央との決勝では、最速152キロ右腕の齋藤響介を見事に攻略した。速球対策をして臨み、いずれのチャンスも安打で作り、3つ出た適時打も全て140キロ中盤の直球をとらえた。

また、打線に劣らず投手陣にも力がある。アンダースローの小野涼介は元々横手投げで5月にアンダースローへ転向したばかりだが、腕を下げたことで、打者の手元で伸びる球が武器となり、2回戦を完封に抑え、準々決勝の盛岡大付打線も無失点、決勝でも先発として活躍した。さらに初戦と準決勝で先発した左腕の高澤は1年生ながら188センチと将来性豊な選手で、3試合に登板した寺尾も決勝戦では2番手として登板し、5回1/3を1安打に抑えた。

伝統の高い守備力と勢いのある打線に注目したい。

2022年夏 岩手大会結果

1回戦:14対0 不来方、2回戦:4対0 盛岡四、3回戦:10対0 伊保内・軽米、準々決勝:8対0 盛岡大付、準決勝:7対0 盛岡一、決勝:3対2 盛岡中央

秋田 能代松陽 11年ぶり4回目

現校名では初の甲子園出場

前回出場の2011年時は「能代商」として出場したが、その2年後に能代北と統合があり、現校名になった。

エース三浦、キャプテンの田中バッテリーを中心として安定した守備力。そして全員野球でつなぐ意識の高い攻撃力といった点が特徴のチームである。

準々決勝と決勝を完投し、全5試合で先発したエース右腕の三浦はボールの強さとキレが持ち味の投手。130キロ台中盤の直球に、スライダーやカットボール、チェンジアップを織り交ぜた多彩な投球術を持っている。

さらに、3試合で三浦をリリーフした184センチの大型右腕の森岡はストレートと同じ腕の軌道から繰り出されるスライダーが持ち味の今後に期待が持てる2年生である。

攻撃面では、全試合でビッグイニングを作り出した強力打線が持ち味。

特に1番の大高、2番の紀本を起点として、打率5割超で6打点をあげている3番の田中へと回していく。

工藤監督は選手達に技量のみならず、野球脳やイメトレといったメンタル面の強化も行ってきた。

前回出場時の甲子園2勝から目標の日本一へ飛躍の夏を誓う。

2022年夏 秋田大会結果

2回戦:10対0 大曲、3回戦:10対3 秋田工、準々決勝:5対1 大曲工、準決勝:9対6 秋田中央、決勝:6対3 秋田南

山形 鶴岡東 3年ぶり7回目

目指すは初の甲子園8強

地区予選準決勝までの4試合を全てコールド勝ちし、尚且つ全て無失点での勝利という攻守ともに圧巻の安定ぶりを誇る。

順々決勝で春王者の羽黒と対戦。相手エース本間は、最速140キロ台の直球を武器とするプロ注目の選手。春の予選では、延長11回の末2対1で勝利はしたものの、本間に18三振を喫した。その後の県大会では、準々決勝で対戦し、2対3で敗戦している。

その宿敵相手に、先発の本間を攻略し、7対0のコールドで勝利した。

決勝戦では、エースで来年のドラフト候補とされている左腕の武田から安打を集めて、3番の古賀、5番の小林昇一郎の適時打で加点。抑えては、7回に1点差に詰め寄られたものの、先発の小林廉が4安打2失点、リリーフの矢部が無安打に抑え優勝に導いた。

5試合平均でのチーム打率が.411と高い打率をマークしている。

その打線をけん引しているのが、チームトップの.571という驚異的な打率を誇る2番の土屋。羽黒との準々決勝ではチームを勢い付ける先制の2ランを放っている。また、下位打線でも関が打率.538、3番の古賀、4番の前田、6番の濱田のいずれも4割超えの打率をマークしている。

投手力も豊富で、山形大会では4人の投手が登板している。

直球とスライダーを織り交ぜる小林廉、低めの制球力が良い渡辺が先発を担い、左腕の矢部がリリーフに回っている。

小林廉の登板時は背番号3の前田が捕手を務め、渡辺・矢部らが登板する際は土屋がマスクを被る。この投手によって、捕手と一塁手を入れ替えるというのもこのチームの大きな特徴だろう。

一戦必勝で初の甲子園8強まで突き進んでいく。

2022年夏 山形大会結果

2回戦:10対0 上山明新館、3回戦:10対0 寒河江、準々決勝:7対0 羽黒、準決勝:7対0 新庄東、決勝:3対2 山形中央

宮城 仙台育英 3年ぶり29回目

苦しい投手事情を乗り越え、目指すは日本一

守り勝つ」をテーマに3年ぶりに甲子園へ帰ってくる。

宮城大会の決勝では、初めて決勝進出した聖和学園と対戦した。まずは2回にスクイズで先制し、その後追いつかれたものの、4回に内野安打で勝ち越し、7回には再びスクイズで加点と小技を存分に絡めて勝利した。

この勝利は苦しい投手事情を乗り越えた先にあった。

元々、140キロ超えの直球を投げる古川と斎藤の3年生左腕が軸となるはずだったが、大会直前で調子の良かった斎藤が左ヒジを故障。将来を見据えての須江監督の判断。さらに2回戦で登板予定だった仁田は大会中の練習でギックリ腰になってしまった。

ただ、そんな中でも最速145キロの2年生右腕の高橋が4試合に先発し奮闘。また2試合に登板した湯田はスライダーが冴えた。須江監督も大絶賛の内容だった。そして、後輩投手陣を古川が3試合でリリーフ。

攻撃では、3番の秋元、4番の斎藤、5番の尾形といったクリーンアップが随所で勝負強さを発揮した。

長い1年4ヶ月という期間を経て、東北勢の雄が甲子園で躍動する。

2022年夏 宮城大会結果

1回戦:6対4 柴田、2回戦:7対0 仙台商、3回戦:12対0 専大高専名取、準々決勝:4対0 日本ウェルネス宮城、準決勝:不戦勝 仙台南、決勝:3対1 聖和学園

福島 聖光学院 3年ぶり17回目

復活の「絶対王者」

2007年から2020年までの福島を14連覇していた「絶対王者」を昨夏準々決勝で破った光南。その光南が決勝戦の相手として立ちはだかった。

聖光学院は8番生田目のスクイズなどで優勢であったが、雷雨により1時間54分の中断となった。再開後の4回には押し出し四球で同点とされたが、5回に3番安田が右翼席に飛び込む3ランを放ち勝ち越しに成功。雪辱を果たして3年ぶりとなる夏の甲子園を勝ち取った。

福島大会の準決勝では、最速151キロ右腕の草野を擁する東日本国際大昌平を3回途中で降板させた。

その勢いのある打線をけん引するのが、主将でリードオフマンの赤堀。全試合で安打を放っている。また、パンチ力が売りの安田や2年生で4番を務める三好、プロ注目の捕手で5番の山浅といった中軸が整っている。

斎藤監督も普段の力を試合でも存分に発揮している選手たちを評価している。

強肩でリードにも定評のある捕手の山浅を要とした守備陣も高いレベルを誇っている。

また、投手陣も安定しており、エースの佐山は5試合で9失点(自責点7)で被安打30と打たれてはいるものの、要所要所を閉める投球で粘投している。縦横のスライダーやカーブ、チェンジアップといった緩急自在のピッチングができる左腕の小林もおり、準決勝では8回を4安打に抑える好投を見せた。

春6回、夏16回の甲子園出場を誇る聖光学院。昨夏の悔しさをバネに今春の東北大会では優勝し、勢いに乗っている。

さらなる躍進を期待したい。

2022年夏 福島大会結果

2回戦:10対0 船引、3回戦:10対3 小名浜海星、4回戦:9対1 会津工、準々決勝:9対5 日大東北、準決勝:6対0 東日本国際大昌平、決勝:6対3 光南

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