岡山 創志学園 4年ぶり3回目
今夏勇退の監督と1日でも長く野球を
夏の甲子園を決めた瞬間、選手たちはグランドで涙を流した。
創部した2010年以来チームを率いて、今夏で勇退が決まっている長澤監督を甲子園に連れていけるからだ。
このチームを引っ張るのは、岡山大会の全5試合に先発し38回を投げ抜いたエースの岡村だ。右横手投げから常時140キロ前後の直球を投じる。スライダーやカットボールなども自由自在に操り、制球力で相手を圧倒する。
長澤監督も全幅の信頼を寄せるエース右腕は試合を重ねる毎に球威を増していき、昨夏覇者倉敷商との決勝戦では相手の強力打線を5安打、8奪三振に完封した。
また、打線もチーム打率.387と好調で、1~5番までの打者全員が打率4割超をマークしている。1番俊足の横井と2番で小技が得意な木村が塁に出ると、主砲の金田が長打を放つ。また竹本と上田の2年生コンビもパワーがある。さらにエースの岡村は打者としても定評があり、チームトップの8打点をマークしている。
そして特筆すべきなのが、岡山大会全5試合でたったの1失策と鍛え上げられた守備力だ。外野陣は守備範囲が広く、俊足揃い。岩本と上田の二遊間コンビは軽快な守備でセンターラインを固める。
昨秋の中国大会では1回戦で下関国際(山口)に7回コールドで敗退と決して順調な滑り出しではなかった。
ただ、その悔しさを胸に今オフ死ぬ気でトレーニングに励んだ。その結果今春の中国大会決勝では広陵(広島)にに5対4で競り勝ち、結果を残した。
2018年の現在阪神で活躍する西純矢を擁して出場した時以来の甲子園で、監督と1日でも長く野球ができるように躍動する。
2022年夏 岡山大会結果
2回戦:7対0 金光学園、3回戦:8対0 西大寺、準々決勝:10対6 おかやま山陽、準決勝:11対2 岡山理大付、決勝:2対0 倉敷商
鳥取 鳥取商 11年ぶり3回目
選手との信頼関係を武器に甲子園初勝利へ挑む
手に汗握る死闘を制し、11年ぶりの甲子園の切符を掴んだ。
倉吉総合産との決勝はまさに死闘だった。両投手の好投により、両校無得点のまま延長に突入する。ただ、延長に突入してもなお無得点のまま、鳥取大会では初となるタイブレークに突入。1点を先制された14回裏、2点をあげて3時間39分にも及ぶ激闘を逆転サヨナラ勝ちで飾った。この夏の大一番で勝ち切ったことがこのチームの最大の特徴を表しているといえる。
特に3番の前田は打率5割を誇る好打者で、決勝では自身初となる本塁打を放った。また、1番の田中は打率.471とこちらも好調な選手の一人。そして2番の鈴木が犠打などで前田に回すといった3人で1点を先制するといったシーンが大会中多々見られた。
6番の木村は、他の全員が打てずにいた決勝の相手投手から唯一3安打猛打賞の結果を出した。
さらに、延長タイブレークで一打を放ったのは途中出場の坂本。14回1死満塁でスクイズに失敗し、2ストライクに追い込まれたが、その後ファウルで粘った後にセンター前へヒットを放ち2人が生還した。この勝負強さが売りである。
投手陣も2年生の山根と3年生の岩崎が2枚看板でチームを引っ張る。
山根はチェンジアップやカーブといった変化球を上手く用いて相手打線の的を絞らせない投球が持ち味。そして、本格派右腕の岩崎は最速141キロの直球とキレのあるスライダーを含めた4種類の変化球を自在に操る。
この2枚看板をリードする捕手の前田にも注目だ。前田は相手バッターの特徴をしっかり観察し、配球を組み立てる。その甲斐あってか、大会3連覇を狙った米子東の強力打線を2安打に抑え込み8回コールド勝ちへ導いた。
投打ともにバランスの取れたチームで、甲子園初勝利を目指す。
2022年夏 鳥取大会結果
2回戦:6対1 鳥取西、準々決勝:14対1 倉吉農、準決勝:7対0 米子東、決勝:2対1 倉吉総合産
広島 盈進 48年ぶり3回目
48年ぶりの甲子園で躍進に期待
ノーシードから強打で勝ち上がった、その勢いに期待。
7試合で80安打、66得点の猛攻を見せて頂点に立った。上位打線を担う鶴田、秋田、杉浦、山藤らが中心となって破壊力抜群の打線をけん引する。先制点を取る力があり、全7試合全てで先制し一度もリードを許さない試合運びを見せた。
さらに投手陣も安定感がある。準決勝の近大福山戦ではエース右腕の向井が6回3安打無失点の投球を見せた。向井は130キロ台のストレートを軸にカーブやチェンジアップなどの緩急を織り交ぜて相手打者の的を絞らせない投球が持ち味。
決勝の7回以降は右腕の寺田が1安打に抑え完封リレーで勝利した。他にも3人投手がおり、投手陣は計7試合で10失点、防御率1.24という安定した数字を誇っている。
捕手出身で、社会人野球の王子製紙で都市対抗優勝の経験がある佐藤監督からも全幅の信頼を得ている捕手の奥信は配球が上手く、投手陣を完璧にリードしている。
チーム打率.376の強力打線で甲子園でも大暴れしたい。
2022年夏 広島大会結果
1回戦:11対0 大門、2回戦:18対0 三次青陵、3回戦:7対1 福山工、4回戦:12対2 海田、準々決勝:4対3 呉港、準決勝:5対0 近大福山、決勝:9対4 尾道
島根 浜田 18年ぶり12回目
古豪復活へ挑戦の夏
足を絡めた隙のない走塁でノーシードから18年ぶりの甲子園へ。
5試合でチーム盗塁19と足を絡めた攻撃パターンが展開されている。特に1番の中野は、準々決勝から決勝まで全ての試合で初回に出塁し、すぐに盗塁を決めるなど躍動した。そして、5番の主将岡が10打点をマークししっかり本塁に返す打撃をしている。
他にも、選球眼の良い3番の波田や元々中軸を任されていた大井海が下位打線の起点となって仕事をしている。
投手陣は、3年生右腕の森井が鍵となった。夏の大会開幕直前までは近堂、波田に次ぐ3番手の投手だったが試合を重ねるごとにパワーアップし、準々決勝では6回、決勝では7回を投げ切る活躍を見せた。左腕の波田から森井への継投が甲子園でも楽しみだ。
甲子園出場は実に18年ぶりで、家田監督が主将として出場した2004年夏以来の出場となる。家田監督は、立命館大まで現役を続けた後故障等もあり大学卒業と同時に現役続行は断念。その後会社員として過ごした後に指導者への熱意から教員免許を取得し2020年に母校に赴任。2021年春に監督に就任した。
名門浜高の復活に期待したい。
2022年夏 島根大会結果
2回戦:6対3 情報科学、3回戦:4対1 出雲、準々決勝:11対10 益田東、準決勝:5対2 三刀屋、決勝:9対4 飯南
山口 下関国際 4年ぶり3回目
2018年夏の8強を超える戦いを
4年前の快進撃を超える戦いを見せたい。
強力な投手陣が魅力のチームだ。エース左腕の古賀や右腕の仲井はともに145キロを超える速球を投げる本格派の投手で、県大会は3回戦は古賀、準々決勝から決勝までの3試合は全て仲井が完投した。2回戦で先発した松尾も140キロを超える投手で投手陣が非常に厚い。
バッテリーを中心とした守りからリズムを作る野球を見せる。
攻撃陣は、機動力と得点力を兼ね備えている。特徴的なのが、2死からの得点が多く2死から9人が続いたという試合もあった。
チーム打率は.325で、古賀と水安がそれぞれ1本塁打を放った。決勝では、8回に打線が爆発し、13人を送り込む猛攻で一挙7得点を奪い頂点に立った。
前回出場時の先輩たちに憧れて入学してきた代。超えるために、厳しい練習にもひたむきに取り組んできた。筋力を数値化するなどして、自分の課題を洗い出し足りない部分を選手たちが理解した上で必要なトレーニングを積んできた。
憧れの先輩たちが残したベスト8を超える夏にしたい。
2022年夏 山口大会結果
2回戦:7対0 下関工科、3回戦:5対3 宇部鴻城、準々決勝:10対0 岩国商、準決勝:4対3 南陽工、決勝:10対4 宇部工
香川 高松商 3大会連続22回目
「イチ丸」を胸に甲子園も走り抜ける
現チームのスローガンである「イチ丸」は昨年12月に鈴木一郎氏(マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター)から特別指導を受けた際に決めたものだ。
昨夏の甲子園3回戦で智弁和歌山に敗退後、長尾監督がインタビューで「ウチにも来てほしい」と熱望した結果実現した。
強打のスイッチヒッターでプロ注目の浅野を中心に全員で実力を高めた。英明との決勝では、最速142キロ左腕の寒川のクセを見抜き攻略。前半5点のリードを守り抜いて優勝を飾った。
チーム打率は.438と高く、主砲で1番の浅野は決勝の高校通算64号を含む3本塁打をマーク。14打数8安打、7打点、3盗塁と躍動した。出塁率も脅威の.696を記録した。また、2番の井櫻や9番の横井がともに13打数7安打と好調だ。さらに、鈴木氏から習得した走塁技術を駆使して計23盗塁を決めた。
投手陣は、昨夏の甲子園でも2試合に救援した144キロ左腕の渡辺和や138キロ右腕の橋崎、138キロ左腕の2年生大室がいる。
渡辺和は、準決勝を除く4試合に登板し決勝では下半身がつるアクシデントにも見舞われたが130球のを完投した。
浅野を中心とした打線と、鈴木氏直伝の走塁技術を駆使して、甲子園での躍動に期待したい。
2022年夏 香川大会結果
2回戦:14対3 坂出、3回戦:7対1 藤井、準々決勝:12対5 坂出商、準決勝:11対5 丸亀、決勝:6対4 英明
愛媛 帝京五 初出場
悲願の夏初出場で狙うは甲子園での勝利
過去6度決勝で阻まれてきた夏の甲子園の切符をようやく手にした悲願の初出場。
初の甲子園出場までの道のりは決して楽な道のりではなかった。準々決勝の聖カタリナ戦では、9回裏に1点差を追い付かれ、3対3のまま延長に突入した。11回表に一挙7得点で突き放して勝ちを決めた。
準決勝の松山学院戦では、最速140キロ右腕の2年生投手佐久間を攻略し、10回表に2点を勝ち越した。新田との決勝戦では、昨夏の甲子園で活躍した最速143キロ右腕の向井に打ち勝った。
この躍進を支えたのが投手陣だ。中でもエース右腕の積田は100キロ弱のチェンジアップを駆使して緩急を用いた投球を武器に完封するなど4試合に先発し、安定感を見せた。
そして2年生右腕の國方は110キロ中盤のツーシームとワンシームを自在に操り、川之江との3回戦では8回を無失点に抑えた。新田との決勝戦では、2回途中からマウンドに上がり見事に救援。頼れる存在へと成長を遂げている。
投手陣を支えた正捕手の秋元もリードが安定しており、二塁への送球タイムが2秒を切る強肩の持ち主でもある。
打線は、高校通算11本塁打の4番永田を中心として切れ目のない打線を形成している。
チームを率いる小林監督は帝京(東京)のエースとして1985年のセンバツで準優勝し、ロッテで7年プレーした元プロ選手。就任7年目となる今年度を集大成と位置づけて、甲子園での初勝利を誓う。
2022年夏 愛媛大会結果
1回戦:10対1 東予、2回戦:5対0 松山北、3回戦:7対0 川之江、準々決勝:10対3 聖カタリナ、準決勝:3対1 松山学院、決勝:6対4 新田
徳島 鳴門 3年ぶり14回目
基本を大事に全国制覇へ挑む
今春のセンバツでは初戦敗退もセンバツ優勝の大阪桐蔭に対して1対3と善戦し、春の四国大会でも33年ぶりの優勝を飾るなど順風満帆だった。しかし、四国大会後にエース左腕の冨田や主将の三浦といった主力選手が相次いでケガで離脱。6月初旬の総体協賛ブロック大会では初戦で城東に1対13の6回コールド負けを喫している。
この状況からの立て直しができたのは、センバツで大阪桐蔭との対戦が大きかったという。大阪桐蔭ほどの圧倒的な力を誇るチームが、基本を忠実に行っていたことを目にして、自分達も基本の大切さを今一度意識付けて日々の練習に取り組んだ。
準々決勝での富岡西戦では5回裏に9番城田の本塁打などが飛び出し、一挙7得点。投げては冨田が10奪三振で完投に抑えた。
6月に痛い敗戦を喫した相手城東戦では、5回コールドと圧倒し終始寄せ付けなかった。冨田は初戦からマウンドに上がり続け4試合連続完投でまさにエースの立ち居振る舞いを見せた。冨田は最速144キロの左腕で、徳島大会では4試合で被安打17、28奪三振、15四死球、防御率1.29と安定感のある投球を見せた。エース左腕を支える正捕手の土肥のセカンド送球も魅力的で、二塁到達が1.9秒台という強肩を誇る。
一方の打線は、チーム打率.419と高打率をマークしており、中でも7番の豊田が14打数9安打5打点と好調。打力にも期待したい。
池田以来の40年ぶり県勢制覇に向けて一戦必勝で挑む。
2022年夏 徳島大会結果
2回戦:11対0 名西、準々決勝:7対3 富岡西、準決勝:10対0 城東、決勝:6対1 鳴門渦潮
高知 明徳義塾 3大会連続22回目
「終盤の粘り」をテーマに一線必勝で挑む夏
厳しい戦いを制し、高知大会を勝ち抜いた底力。
準決勝の高知中央戦では、140キロ超の投手が3人揃っている相手投手陣を6回表に主将の池邉の2ランで逆転し勝利した。決勝ではクイック投法が武器で最速145キロ右腕の川竹擁する高知に対して、先制点を許すもタイミングを早く取ることを意識し6回表に6点を奪い逆転に成功した。
エースは変速左サイドの吉村で、直球は最速138キロを計測する。高知大会では25回を投げて防御率3.60と本来の出来とは言えないものの、要所を占める粘りの投球ができる。他には最速140キロの右サイド矢野がいる。矢野は130キロ前半でナチュラルにスライドやシュートしていく球筋が武器の投手で打者に的を絞らせない。
打撃は、チーム打率.331と高打率で、2番の安井がチームトップの.467をマークしている。
俊足の1番井上の出塁がこの夏の鍵となるだろう。
昨夏は巨人の左腕代木大和を擁してベスト8まで進んだ。今年は先輩を上回り頂点を目指しにいく。
2022年夏 高知大会結果
2回戦:7対0 土佐、準々決勝:4対1 梼原、準決勝:5対3 高知中央、決勝:8対7 高知