夏の甲子園特集-全49代表徹底分析- 高校/中学野球

関東地方-全49代表徹底分析-

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茨城 明秀日立 初出場

「全員主役」の切れ目のない打線に注目

茨城大会では、全6試合中4試合がコールド勝ちという県内屈指の打力を誇るチームである。

土浦日大との決戦で、勝負強さも兼ね備えていることもわかった。

特に、投手陣の継投策。エース右腕の猪俣とエースを支える主将で左腕の石川だ。猪俣は茨城大会で防御率3点台と本調子ではなかった。その中で、石川は5試合に登板し防御率は0点台と好投を見せ2番手としてチームを支えた。

この継投策は決勝戦の土浦日大との一戦でも垣間見えた。同点で迎えた9回2死2塁のピンチに猪俣から継投した石川が相手左打者を空振り三振に抑えた。

この投手陣の頑張りに打線も奮起した。2回に2点の先制を許したが、5回に打率6割超えの2番本坊が右翼フェンスに直撃する適時三塁打を放ち反撃ののろしを上げる。そして、9回裏、2死2塁から今大会打率.579で15打点をマークしている佐藤が左超えサヨナラ2点本塁打を放ち優勝を飾った。

この最後に勝ち切るといった勝負強さと、主将石川の2度のワンポイントリリーフが特に流れを引き寄せるポイントになった。

今春のセンバツでは、市和歌山との2回戦で悔しいサヨナラ負けを喫している。その悔しさを晴らすべく、夏の大舞台で投打ともにレベルアップした姿に期待がかかる。

2022年夏 茨城大会結果

2回戦:10対0 江戸崎総合、3回戦:11対1 古河一、4回戦:13対4 鹿島学園、準々決勝:9対6 竜ヶ崎一、準決勝:8対1 境、決勝:4対2 土浦日大

栃木 国学院栃木 37年ぶり2回目

37年ぶりに勝ち取った夏の甲子園で初勝利を目指す

作新学院の11連覇を阻んだのは、ノーシードから勝ち上がった国学院栃木だった。

今春の県大会では3回戦敗退と順風満帆なチームではなかった。今一度、「守備からリズムを作れるチーム」を目指して、練習時間の大半を守備に割いた。

守備強化が夏で実を結ぶ。作新学院との準決勝は3対0とリードしていたものの、9回表に5失点で逆転を許す。ただ、その裏に同点に追いつき10回裏に主将で4番の平井がサヨナラ本塁打で締め括った。

平井は、投げてもチームに貢献した。決勝戦の6回裏に迎えたピンチの場面で登板。1打逆転の場面を無失点で抑えてチームを救った。

6人の投手がおり、夏の甲子園ではその継投にも注目したい。中心となる投手が2年生エースの盛永だ。180センチの長身から最速145キロの直球を投げ込む右腕で、作新学院との準決勝では延長10回、160球を投げて完投した。

打線では、攻撃のレパートリーに注目だ。俊足1番の原野や2番の槇本が出塁し足で描き回す。そして、勝負強さと長打力を兼ね備えるクリーンアップにつなげる。小技が得意な下位打線。特に9番の小垣の出塁が鍵だ。

栃木大会では、この小垣の出塁率が高さがチームとしての得点力向上に寄与した。

栃木大会で見せた戦いぶりを夏の甲子園でも期待したい。

2022年夏 栃木大会結果

1回戦:16対0 さくら清修、2回戦:7対2 宇都宮北、3回戦:2対1 栃木工、準々決勝:7対0 足利大付、準決勝:6対5 作新学院、決勝:8対4 宇都宮南

群馬 樹徳 30年ぶり3回目

積極的な攻撃で1992年夏の2勝超えを目指す

ノーシードから、「県内3強」と言われている前橋育英。健大高崎、桐生第一を全て倒し30年ぶりの夏舞台に進出した。

このチームの原動力となった選手が145キロ右腕の亀井である。6試合全てに先発し、準々決勝以降は全ての試合で完投した。

力のある速球やスライダー、カーブといった変化球も魅力の投手である。スタミナ面でも、配球を工夫することで粘りの投球で幾度となくピンチを切り抜けた。

また、亀井を支えるバックの堅い守りもこのチームの特徴だ。6試合でわずか1失策と安定感のある守備で亀井を盛り立てる。特に、決勝戦でのプレーが印象的だ。

右翼手の高木がフェンス際のあわやホームランの打球をジャンプして捕球。そして、飛び出したランナーを見てすぐに1塁へ送球し併殺プレーとなった。

攻撃面では、バントをせずにバスターといった積極的な攻撃パターンが特徴的だ。その中でも、準々決勝の前橋育英戦では、3番の今野が3点ランニングホームランを放ち、大会通じて11打点と大活躍を見せた。

1992年以来30年ぶりとなる甲子園での躍動に期待が高まる。

2022年夏 群馬大会結果

1回戦:9対1 群馬高専、2回戦:3対0 前橋商、3回戦:6対1 高崎商大付、準々決勝:6対0 前橋育英、準決勝:10対7 桐生第一、決勝:6対4 健大高崎

埼玉 聖望学園 13年ぶり4回目

埼玉で巻き起こした旋風を甲子園でも

13年ぶりの甲子園を決めた原動力は、防御率0.92という安定感抜群の投手陣にある。

特にエース右腕の岡部は、6試合に登板し防御率1.14と抜群の成績をマークしている。決勝戦では、今春のセンバツベスト4の実績がある浦和学院を雨の中4安打完封にねじ伏せた。

制球力と切れ味鋭いスライダーが持ち味。また、どんな状況でも顔色ひとつ変えずにミットめがけて投げ込むその精神力の強さに脱帽だ。

岡部だけでなく、中継ぎ左腕の東山も良い投手である。角度をつけたフォームから放られる球威抜群のストレートで、15回2/3を投げて防御率0.57と安定感を見せている。

一方打線は、県大会通算で72安打中単打が51本と長打率は低いものの、「繋ぐ意識」を徹底し勝負強いものがある。

上石、江口、双木のクリーンアップはミート力があり、勝負強さを兼ね備えている。下位打線も繋ぐ意識が徹底されており、切れ目のない打線を形成している。

2008年のセンバツでは、初出場で準優勝に輝いた実績があるが、今度は夏の甲子園でどこまで躍進できるか注目したい。

2022年夏 埼玉大会結果

2回戦:18対0 浦和西、3回戦:4対1 浦和工、4回戦:6対3 大宮東、5回戦:5対3 昌平、準々決勝:3対0 武南、準決勝:5対4 山村学園、決勝:1対0 浦和学院

山梨 山梨学院 3年ぶり10回目

春夏連続出場で伸び伸びとしたプレーに期待

今春のセンバツで初戦敗退の悔しさを晴らす夏に。

山梨大会の決勝では、16点差をつけての勝利と盤石の戦いで山梨を制した。3年ぶりの夏の甲子園である。

そんなチームの投手陣を牽引したのがエース右腕の山田だ。夏の大会前に以前はワインドアップだった投球フォームを走者がいない状況でもセットポジションから投球するフォームに変化させたことが功を奏したのか、自己最速を大幅に更新する142キロをマーク。常時140キロ前後の速球を投げ込めるように成長した。

また、球速のアップにより、カットボール等の変化球で緩急をつける投球が可能となり、投球の幅が広がった。

山梨大会では、3試合に登板し無失点と安定感抜群の投球を見せた。今春のセンバツでも好投を見せた榎谷も健在で、直球が常時130キロ後半をマークするようになった。決勝では先発のマウンドを託され、7回1失点と好投。後ろを守る守備陣も全5試合で失策はわずか1と安定的な守備を誇る。

打線も切れ目がなく、1番の鈴木や2番の進藤が出塁し、続くクリーンアップもしっかりランナーを返す打撃を見せる。

また、チームを通して選球眼が良く準決勝で10、決勝では9の四球を選んだ。まさに「好球必打」を徹底している。

今春のセンバツで木更津総合に延長13回で1得点に抑えられたことから、振り負けないスイングを磨いてきた。

春の悔しさを夏の舞台で返せるか期待である。

2022年夏 山梨大会結果

2回戦:31対0 白根、3回戦:11対0 塩山、準々決勝:7対1 駿台甲府、準決勝:6対3 東海大甲府、決勝:17対1 甲府工

千葉 市船橋 15年ぶり6回目

厳しい千葉大会を勝ち抜いた猛者

戦国千葉を勝ち抜いたのは、市船橋だ。このチームをけん引してきた2人の投手がいる。

千葉大会5試合に登板した最速140キロ右腕の坂本とプロ注目の143キロ左腕の森本哲星だ。この2人の系統でチームを勝利に導いてきた。

特に決勝戦では、これまでリリーフ登板だった森本が先発し180球を投げ完投した。

また、全7試合中5試合で逆転勝ちをしてきた勝負強さもこのチームの特徴である。

チーム打率は.389で、1番の三浦が出塁し3番の森本哲太は左腕の森本哲星の双子の兄で弟を支える打撃を見せる。森本哲太は、俊足強打の右打者で、決勝戦ではフェンス直撃のランニング本塁打を放っている。

4番の片野は高校通算30本近い本塁打を放つ大型捕手で、地元である船橋市出身。

戦国千葉を勝ち抜いたその実力を余すことなく夏の大舞台で見せてほしい。

2022年夏 千葉大会結果

2回戦:4対0 検見川、3回戦:19対8 市銚子、4回戦:8対1 千葉明徳、5回戦:3対2 千葉学芸、準々決勝:5対3 中央学院、準決勝:7対5 拓大紅陵、決勝:13対6 木更津総合

東東京 二松学舎大付 2年連続5回目

選手と監督の強い絆で挑む夏の甲子園

2年連続5度目の頂点に立ったチームの強さは、チームとしての総合力にある。

投打のバランスが非常に取れており、東東京大会では17盗塁と足も絡める。また、昨夏と今春の甲子園の舞台をレギュラーとして経験しているメンバーの親富祖と瀬谷の存在も大きいだろう。

バランスの取れた投手力の中核を担う投手が3人いる。

まずエース左腕のだ。制球力があり上手くタイミングを外す変化球を武器とする。決勝戦では先発マウンドを託され、機動力野球が持ち味の日体大荏原を7回途中1失点で抑えた。そして、リリーフとして貢献したのが重川だ。準決勝の帝京戦では、ピンチの場面で登板し4回無失点と好投を見せた。さらに決勝戦では7回途中からマウンドに立ち、最後まで得点を許さない圧巻の投球を見せた。また、この投手で特筆すべきなのは、許した四死球が0という点だ。

そして、春のセンバツでも登板した左腕の布施も控えている。センバツでは聖光学院に5回途中7失点と悔しい結果だっただけに雪辱を誓う。

打撃面では、大舞台を経験している親富祖と瀬谷がけん引した。親富祖は、50メートル5秒台の1番打者として機能し、瀬谷は3番として打率4割超と十分に仕事を果たしている。また、決勝戦で4番に抜擢された期待の1年生片井も注目だ。準決勝では、高めの直球をレフトスタンドに放り込む豪快な一発を放っている。

チームの雰囲気がとてもよく、小林主将が声かけを通してチームを鼓舞している。

「市原監督のために」という選手の強い想いのもと、甲子園での躍動に期待したい。

2022年夏 東東京大会結果

3回戦:9対2 立教池袋、4回戦:9対3 城西、5回戦:8対1 錦城学園、準々決勝:17対0 文京、準決勝:7対4 帝京、決勝:5対1 日体大荏原

西東京 日大三 4年ぶり18回目

破壊力抜群の打力に期待

強打の日大三復活。

試合を重ねる毎に破壊力を増していったその打撃力はやはり注目である。

特に、準々決勝の桜美林戦では11安打9得点と大暴れした。準決勝の都立富士森戦では初回から打者14人の猛攻で10得点をあげ、5回コールドで圧倒の結果を残した。この打線のキーマンは藤巻の出塁が鍵だと小倉監督は言う。藤巻は脚力があり、塁に出すと打線が活気付く。

また、3番の富塚と4番の浅倉も期待の持てる選手だ。富塚は桜美林戦で本塁打を放つなど長打力を見せている。甲子園での躍動に期待がかかる。

投手陣も地力のある投手が揃っている。

昨秋、春と背番号「10」をつけていた左腕の松藤がエースとなりチームをけん引した。松藤は角度のあるストレートにカーブやスライダーを織り交ぜる投球を武器とする投手。また、以前エースナンバーをつけていた矢後も右肘の不安が払拭され、投げられる状態になっている。

この投手陣を引っ張るのが強肩捕手の川崎だ。川崎の肩にも注目したい。

指揮を執る小倉監督は今年65歳と節目の年。全国の舞台で監督を頂点まで連れていきたい。

2022年夏 西東京大会結果

3回戦:15対3 桐朋、4回戦:24対3 明星学園、5回戦:9対1 創価、準々決勝:9対01 桜美林、準決勝:12対1 富士森、決勝:6対2 東海大菅生

神奈川 横浜 2年連続20回目

緻密な野球で熾烈な神奈川を勝ち抜いた底力が持ち味

熾烈な神奈川大会を勝ち抜いたのは、抜群の投手陣。

神奈川大会を通して、チーム防御率0.69と抜群の安定感を見せる。特に昨夏に1年生エースとして甲子園の舞台を経験した左腕の杉山の成長が大きい。決勝の東海大相模との試合は、1対0の9回サヨナラ勝ちと劇的な試合だったが、9回2安打の完封で抑え込んだ杉山の存在がこの試合の勝ちにつながった。

130キロ台の直球と緩急のあるチェンジアップ、さらにスライダーとどの球種も制球力が抜群だった。

また、同じ2年生右腕の鈴木は直球の伸びとスライダーのキレが持ち味。5回戦の横浜隼人戦では、同点に追いつかれた9回裏1死満塁の場面から救援し、見事にこの窮地を切り抜けた。ロッテの左腕である鈴木昭汰を兄にもち、立花学園との準決勝では6回1失点の好投を見せた。

3年生右腕の田高も昨夏の甲子園を経験しており、投手層が厚い。

攻撃面では、代名詞となっている「緻密な野球」を持ち味としている。チーム打率は.398と強打を誇る一方で、22犠打と1点をもぎ取りにいく貪欲さがある。昨夏の甲子園1回戦広島新庄との戦いで、1年生として史上初の逆転サヨナラ3ランを放った緒方は、打率.538をマークし長打力もパワーあっぷしている。

また、チーム最多の8打点をマークしている2年生の萩は、高校通算15本塁打をマークしており期待のスラッガーだ。

コロナの部内感染等を乗り越え、「緻密な野球」を体現して躍動する姿に期待したい。

2022年夏 神奈川大会結果

2回戦:10対0 生田東、3回戦:8対0 平塚江南、4回戦:9対0 茅ヶ崎西浜、5回戦:4対2 横浜隼人、準々決勝:8対1 藤沢翔陵、準決勝:11対1 立花学園、決勝:1対0 東海大相模

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