夏の甲子園特集-全49代表徹底分析- 高校/中学野球

中部地方-全49代表徹底分析-

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長野 佐久長聖 4年ぶり9回目

全員野球で掴み取った夏切符

全員野球でノーシードから夏の大舞台へ進出。

長野大会では、背番号10右腕の廣田が準決勝および決勝のマウンドに立ちともに1失点で完投した。春まで野手を兼務していた廣田は130キロ前後の直球で打たせて取る投球が武器の投手だ。また、制球力もあり両コーナーへの投げ分けができる投手である。スライダーやチェンジアップを武器に低めに集めて、配球を上手く組み立ててアウトを重ねていく。

エースナンバーをつけた小北も廣田と同じようなタイプの右腕で、最速137キロのストレートとチェンジアップを上手く使った緩急で打者を打ち取っていく。他にも2投手が控えているが、投手陣は継投ではなく完投での起用が多いのもチームの特徴である。

一方の打線は、手堅く1点ずつ積み重ねていくスタイルだ。非力な選手や追い込まれたカウントになるとバスターで確実にコンタクトをはかってくる。チームとして、1球に食らいつく姿勢が染み込んでいる証拠だろう。

その打線の中核を担うのが、主将で4番の寺尾だ。長野大会では大会終盤にかけて調子を上げていき、準々決勝以降毎試合で打点をマークしている。勝負強さや長打力も光るため、いかに寺尾の前に走者を置けるかが鍵になるだろう。

2年前の独自大会で優勝を飾った3年生たちをスタンドで見ていたのが、今の3年生である。優勝した後に甲子園がないという現実を目の当たりにした。先輩たちの無念を思い切り晴らせる活躍に期待したい。

2022年夏 長野大会結果

1回戦:11対0 箕輪進修、2回戦:11対1 田川、3回戦:4対0 長野工、4回戦:10対7 松本国際、準々決勝:5対1 篠ノ井、準決勝:3対1 小諸南、決勝:7対1 東京都市大塩尻

新潟 日本文理 3大会連続12回目

県内最多優勝で狙うは甲子園での勝利

新潟県で最多となる12回目の夏優勝を果たし、甲子園出場を決めた。

決勝戦の帝京長岡戦では、ドラフト候補の好右腕茨城のチェンジアップに苦しみなかなか得点ができなかった。しかし、延長11回に玉木が劇的なサヨナラ打を放ちチームを勝利に導いた。

この執念の一打のように、ここ一番での集中力がこのチームは強い。特に田中、高橋、玉木の中軸には長打力があり、田中は9打点をマークするなどチャンスに強い。クリーンアップがチャンスに強い分、井口や早川の出塁が打線の鍵を握るだろう。

また、投手陣もプロ注目の田中がけん引する。エースの田中は4試合を投げ、自責点1、防御率0.26と安定感抜群である。さらに準決勝では自己最速となる150キロを計測し、2種類のスライダースプリットを駆使して打者を翻弄する。

村越は、130キロ台の直球に低めを丁寧に投げ分ける変化球で打たせて取る投球が持ち味の投手。2年生の高橋は昨夏146キロをマークした直球が武器で、1年生の倉石は130キロ台後半の直球と1年生ながらにも堂々たるマウンドさばきが武器の投手である。

2009年には準優勝をしたこともある日本文理だが、2017年以降は甲子園での勝利から遠ざかっている。

田中を筆頭に甲子園での勝利、躍進に期待したい。

2022年夏 新潟大会結果

2回戦:7対0 加茂暁星、3回戦:8対0 三条、4回戦:7対0 新発田南、準々決勝:3対1 新潟、準決勝:11対6 北越、決勝:2対1 帝京長岡

富山 高岡商 5大会連続22回目

昨夏の甲子園での借りを返す

富山大会の準決勝、決勝はいずれも壮絶な打撃戦だった。

主将の近藤を筆頭にクリーンアップの長打力が持ち味で、決勝では1本塁打、三塁打と二塁打を計6本放ち8打点の活躍を見せた。

また、4番の近藤は5試合で15打数9安打6打点と4番の仕事を十分にしている。さらに特筆すべきなのが選球眼だ。三振は0で、9つの四死球を選んでいる。守備でも捕手としてチームの要となる働きを見せる。

下位打線も平均打率4割超と、まさに打ち勝つ野球がチームの特徴だ。

一方の投手陣は、エースの桑名と川尻の2枚看板がいる。準々決勝から決勝までの3試合で制球に苦しみ四死球が多くなった。制球に苦しむエースを支えたのが川尻だ。カーブやスライダーチェンジアップを投げ分けつつも球威のある速球を活かす投球が持ち味の投手。チーム最多のイニング数を任された。

また、2年生左腕の横江も期待の投手だ。昨秋、試合中に右膝前十字靭帯を断裂しそこからリハビリを経て復活した2年生は、この夏自己最多タイの140キロをマークし、復活を見せた。

近藤や桑名をはじめ、6人が昨夏の甲子園を経験している。昨夏は松商学園(長野)に4対17と富山史上最多失点で敗れた苦い記憶がある。

甲子園での雪辱を晴らすため、リベンジを誓う。

2022年夏 富山大会結果

2回戦:10対0 富山南、3回戦:8対1 高岡、準々決勝:6対2 未来富山、準決勝:11対10 富山商、決勝:12対11 氷見

石川 星稜 3年ぶり21回目

悲願の北陸勢初制覇へ

因縁の相手との決勝を制し、夏の大舞台へ。

石川大会の決勝は、劇的な結末となった。決勝の相手は2014年夏決勝で8点差の大逆転を演じたこともある因縁の小松大谷だ。

1回に星稜エースのマーガードが先頭打者本塁打を浴び、いきなり先制点を許す。その後、星稜は3点を追う展開となったが冷静に点を重ねていき、3かいに津澤の適時打で逆転に成功。その後両投手の投げ合いとなり、終盤まで試合はもつれた。

試合が動き出したのは、7回。小松大谷が2死1,2塁のチャンスを作ると、星稜は2年生右腕の武内へシフト。この難局を三振で切り抜けた。

その後も両チームとも得点圏に走者を進めるもののなかなか一点が遠い試合となった。そして、星稜リードで迎えた9回に小松大谷が2死2塁から左前打で走者が本塁へ突入を試みたが、津澤の好返球で2塁走者を刺し、星稜を勝利に導いた。

このチームを支えたのは安定感抜群の投手陣だ。

チーム防御率は1.22で、中でも武内は17回1/3を投げ自責点0という数字。最速148キロの直球を武器にカットボール、スライダー、フォーク、チェンジアップなどの変化球を多彩に操る。課題となっていた制球力も安定し、今春のセンバツに比べてレベルアップしている。

打撃面では、チーム打率.331で永井、垣淵らが4割台をマークしつつ出塁率も高水準を保っている。

投手力を武器に北陸勢初の悲願を目指す。

2022年夏 石川大会結果

2回戦:10対0 金沢商、3回戦:4対0 小松工、準々決勝:4対3 遊学館、準決勝:12対0 鶴来、決勝:4対3 小松大谷

福井 敦賀気比 4大会連続11回目

徹底的な戦いぶりで狙うは全国制覇

全5試合で2桁安打を放ち、チーム打率も.396と強打の敦賀気比が4大会連続の甲子園を決めた。

春の県大会はコロナウイルスの影響で準々決勝で辞退したため、夏はノーシードでの戦いとなった。

そのため、決して楽な組み合わせではなかったものの大会を通して1度もリードを許さない試合運びと盤石な戦いぶりを見せた。

特に打撃面では、打率.400の4番上加世田や打率.471の5番高見澤を擁する強力打線が持ち味。また、下位打線でも7番の友田は全試合で安打を放ち1本塁打、6打点と勝負強さが光り、チームトップタイの打点をマークしている。

一方の投手陣は、右腕の上加世田と左腕の清野の2枚看板でチームをけん引してきた。エースの上加世田は決勝での2失点のみの自責点で、北陸との決勝では160球を投げ切り追い上げる北陸を振り切った。

清野は試合を経るにつれて直球のキレが増し、丹生との準々決勝では7回2安打、12奪三振と堂々の投球内容を見せた。

今春のセンバツでは1回戦で広陵(広島)と対戦し、0対9と完敗を喫した。打線も3安打に封じられまさに手も足も出ない試合となってしまった。

この借りを返す戦いに期待したい。

2022年夏 福井大会結果

1回戦:12対5 高志、2回戦:7対0 福井商、準々決勝:5対0 丹生、準決勝:5対0 啓新、決勝:8対4 北陸

静岡 日大三島 33年ぶり2回目

38年ぶりの甲子園勝利を目指す

33年ぶりの夏の大舞台出場を決めた。

2002年のセンバツで報徳学園(兵庫)を甲子園に導いた名将永田監督は就任3年目にして、春夏連続での甲子園出場に導いた。

このチームをけん引するのが、エースで4番を務める松永だ。静岡大会では5試合に先発し、40回1/3を自責点3の防御率0.67と圧巻の投球でチームを勝利に導いた。最速140キロの直球とフォークが冴え渡った。決勝では、110球を投げて1失点で完投したスタミナもある。

打線でもチームをけん引する活躍で、5割近い打率をマークし掛川工との準々決勝では4安打5打点の活躍を見せた。また、その前を打つ3番の2年生池口も9打点と大活躍。

チームの躍進には、相手校の分析を功を奏した。準決勝後に永田監督は1人で決勝の相手となった静清の映像を分析。

相手エースの弱点はカウントを取りにくるスライダーだと見定めて、狙い球を絞って決勝に挑んだ結果、11安打8得点の猛攻を見せた。

また、春の大会で新戦力も積極的に起用するなどチームの底上げも図った。

「全員野球」を代名詞に夏の大舞台での躍動に期待が高まる。

2022年夏 静岡大会結果

2回戦:4対2 浜松商、2回戦:7対0 藤枝明誠、3回戦:8対3 城南静岡、準々決勝:8対5 掛川工、準決勝:4対3 掛川西、決勝:8対1 静清

愛知 愛工大名電 2年連続14回目

亡き友とともに全国の頂点へ

2年連続の甲子園出場の盤石な戦いぶり。

投げては左腕エースで打っては中軸を任されている主将の有馬が投打の中心となってチームを導いてきた。

昨秋までは最速141キロだった直球は一冬で最速147キロまでアップした。また、ウェイトトレーニングやラプソードを利用した球質改善や回転数の向上といった取り組みでキレのある直球とスライダー、右打者の外に落ちるチェンジアップを磨いてきた。

さらに、3試合に登板した山田最速145キロをマークしており、元中日の岩瀬仁紀氏を父に持つ岩瀬もキレのあるスライダーが武器の好投手と投手層が厚い。

一方の攻撃陣は、どの打順からでも長打が狙える強力打線で、中でも4番の山田や藤山を筆頭に6試合で8本塁打を記録。また、3番の加藤も5割をマークするなど好打者が揃っている。

決勝戦の東邦戦では全て単打だったものの、140キロ後半の直球を投げ込む相手投手を攻略し18安打7得点と打線がつながった。

大会開幕前の6月にチームメイトの3年生瀬戸さんが急逝した。選手も落ち込み、大会に挑める精神状態にではなかったが、瀬戸さんの両親が息子の分まで頑張ってほしいとの言葉をかけ部員全員が前を向いた。

ベンチには常に背番号13のユニフォームを飾り、一緒に戦っているという印象を強く受けた。

亡きチームメイトの想いを胸に前を向いて全国制覇を目指す。

2022年夏 愛知大会結果

3回戦:10対0 半田商、4回戦:16対1 同朋、5回戦:8対1 豊田西、準々決勝:9対2 豊川、準決勝:7対4 愛知啓成、決勝:7対4 東邦

岐阜 県岐阜商 2年連続30回目

勝負強さと負けない強さ

.361のチーム打率を誇る強力打線が持ち味。

初戦から決勝までの6試合で計54得点と得点力が武器のチームだ。特に、昨夏の甲子園を経験している内藤は5割超の打率を誇り、50m6.0秒の俊足も持ち味。また、高校通算24本塁打を放っている伊藤は岐阜大会でも2本塁打を放つなど長打力を見せている。

6番の三塚はチームトップの12打点と高い得点力の源となっている。

投手陣は、最速147キロ右腕のエース井上を中心とした豊富な投手が揃っている。速球に加え、スライダーやチェンジアップなど多彩な変化球を巧みに操る。小西は右の本格派で最速145キロの直球とキレのあるスライダーが武器。また、2年生右腕の山口も140キロ台の直球を放るなど、5人の投手全員が140キロ台を計測している。

岐阜大会での決勝では、8回だけで5失点を喫して一時4点差をつけられるも、直後の攻撃で先頭から5連打を放ち一気に同点に追いついた。最後は、8番の村瀬が右翼ポール直撃のサヨナラ本塁打を放ちチームを勝利に導いた。

この決勝戦が代表するように、ここ一番での集中力には目を見張るものがある。

戦後初の岐阜県勢優勝を目指して、一戦必勝で挑む。

2022年夏 岐阜大会結果

2回戦:10対0 本巣松陽、3回戦:8対7 東濃実、4回戦:10対2 岐阜総合学園、準々決勝:11対6 美濃加茂、準決勝:8対1 岐阜第一、決勝:7対6 帝京大可児

三重 三重 2年連続14回目

頼れるエースと狙うは上位進出

エース上山の復活で、2年連続14回目の夏の甲子園を決めた。

昨夏の甲子園で2年生ながらに樟南(鹿児島)との2回戦で完封勝利をあげた実績があるが、昨秋の東海大会以降右肩の怪我を抱え、春の県大会では登板がなかった。実戦復帰したのは、大会直前の練習試合で1試合3イニングを投げたのみ。ほぼぶっつけ本番の状態ではあったものの、全6試合に先発し自責点3という圧巻の投球を見せた。140キロ中盤の直球を軸にスライダーやカットボールなどの変化球を織り交ぜて防御率は0.90をマークした。

打線は、チーム打率が4割近くありつなぐ打撃が持ち味。特に3番の野田はチームトップの10打点をマークし、得点力の要を担っている。

また、5番の鈴木は22打数14安打で打率.636と非常に高い数字を残している。

投手陣が試合のリズムを作り、早いイニングで打線が先制点をもぎ取るといった試合運びが持ち味。決勝の津商戦でも先制点を取り、序盤に1点ずつ加点。さらに9回には6安打の集中打で一挙6得点を挙げて試合を決めた。先発の上山も8回まで1失点と好投し149球を投じた。

帰ってきたエースを盛り立てて、上位進出を目指す。

2022年夏 三重大会結果

1回戦:7対0 暁、2回戦:7対0 四日市中央工、3回戦:8対3 木本、準々決勝:5対3 津田学園、準決勝:6対1 菰野、決勝:11対6 津商

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