滋賀 近江 4大会連続16回目
滋賀県に悲願の優勝旗を
4大会連続で夏の甲子園出場を決めたチームを引っ張るのはエースで4番の主将山田だ。投手としては最速149キロの直球を投げ、ツーシームやスライダーなどの変化球も持ち味の一つ。準々決勝以降の3試合に登板すると、22回で28奪三振、1失点という圧巻の投球を見せた。
また、左腕の星野も注目の投手だ。130キロ台後半のストレートと大きく曲がるカーブを武器としており、課題だった2番手投手として甲子園での活躍を期待したい。
打撃面では、山田を中心に中学時代からのチームメイトの津田が俊足のリードオフマンとして出塁し、走塁で相手をかき回す。
さらに2番の清谷が打率.500、3番の中瀬が.467の高打率をマークしている。今春のセンバツ準決勝の浦和学院戦でサヨナラ3ランを放った8番の捕手大橋もいるなど、打線に切れ目がない。
昨夏の大会後に山田の右肘疲労骨折が発覚し、昨秋は山田が登板できない状態で近畿大会を戦った。ただセンバツの選考から漏れてしまい補欠校になった。しかし、京都国際のコロナによる出場辞退によって代替での出場が決定。ケガから復活を見せた山田が5試合で594球を投げる力投で滋賀県勢初の準優勝を果たした。
夏は県勢悲願の優勝旗を持ち帰る戦いを期待している。
2022年夏 滋賀大会結果
2回戦:4対3 瀬田工、3回戦:12対1 甲西、準々決勝:10対0 伊吹、準決勝:6対5 比叡山、決勝:4対1 立命館守山
京都 京都国際 2年連続2回目
甲子園で野球ができる喜びを胸に
センバツ無念の出場辞退から這い上がった選手たちの想い。
優勝候補の一角とされながらも、センバツ開幕前日に無念の出場辞退。練習再開後もなかなかチーム状態は上がらなかったという。
そんなチームが変わったきっかけとなる試合があった。6月8日に行われたセンバツ準優勝の近江との練習試合。1点差で敗れたものの、相手エース山田の気迫のこもった投球を目の当たりにして選手たちの気持ちが入った。それから京都国際らしさを取り戻すかのように野手は鋭いライナー性の打球を多く放つようになり。森田もパワーアップし好投を見せる。さらに新チームのエース候補とされる右腕の松岡、春に経験を積んだ左腕の杉山と投手陣が豊富になった。エースの森下や平野が登板せずとも試合を作れるように各投手が成長した。
龍谷大平安との決勝は森下が決勝のマウンドに上がり、6回を1失点で打っては1点ビハインドの4回に逆転2ランを放ち、高校通算21本目の本塁打を記録した。5点をリードした終盤は森田がマウンドに上がり、ホームを踏ませない粘りの投球を見せ勝利を勝ち取った。
昨夏は夏の甲子園初出場ながら、ベスト4進出を遂げ狙うは全国制覇。春の悔しさを晴らす戦いに期待したい。
2022年夏 京都大会結果
2回戦:10対0 北桑田、3回戦:12対2 京都両洋、4回戦:9対2 鳥羽、準々決勝:9対4 東山、準決勝:5対3 乙訓、決勝:6対1 龍谷大平安
奈良 天理 5年ぶり29回目
チームスローガンの「繋」で目指すは32年ぶりの頂点
チームスローガンの「繋」を体現し掴んだ夏の甲子園。
このスローガンは選手たち自身でつけたものだという。プロ注目の遊撃手で主将の戸井を中心とした各打者がつなぐ意識を持って点を取っていくというのがこのチームのスタイルだ。
今春のセンバツでは星稜との試合で、ビハインドの状況から2度も追いつくという粘りの戦いを見せたが、最後は屈して初戦敗退となった。
この悔しさをバネに各打者が成長した。戸井、内藤といった主軸が厳しいマークを向けられる中、その前後の打者が打てる打者へ成長。さらにミート力がある2人の1年生、松本と大谷の成長も著しい。
その好調の打線は、準決勝まで全試合コールド勝ちを収める結果を残し、決勝でも3回までに2桁得点と終始主導権を握って試合を優位に進めた。
投手陣は、エース右腕の南澤を中心としている。南澤は肘の怪我で投げられない時期があり、その期間に行った下半身強化によって球速がアップした。スライダーのキレはそのままに最速142キロのストレートを武器とする投手に成長。高田商との準決勝では7回2安打無失点の好投。決勝でも5回まで1安打無失点と好投。一度左翼の守りについた後、最終回には再度マウンドへ。1死3塁のピンチを切り抜け、防御率0.00という成績で奈良大会を終えた。
夏の甲子園でも「繋」を武器に暴れてもらいたい。
2022年夏 奈良大会結果
2回戦:9対0 関西中央、3回戦:10対1 郡山、準々決勝:9対2 奈良北、準決勝:7対0 高田商、決勝:21対0 生駒
和歌山 智弁和歌山 5大会連続26回目
史上7校目の夏連覇への挑戦
5大会連続26回目の夏の甲子園を決めた名門校に今年も期待が高まる。
甲子園出場を決めた瞬間の光景が印象的だった。智弁和歌山ナインはマウンドに集まることも抱き合うこともなく、すぐ整列に向かった。
昨夏の甲子園で21年ぶり3度目の全国制覇を成し遂げた時と同じ光景だ。昨年同様「礼に始まり礼に終わる」を大切にした結果であるという。
喜ぶのは礼が終わってからで、大切なのは相手に敬意を示すこと。その精神は昨夏の代から脈々と受け継がれていた。
昨秋の県大会では準決勝敗退と悔しい新チームのスタートとなったが、その悔しさをバネに春の県大会を制し、近畿大会決勝ではセンバツを圧倒的な強さで優勝した大阪桐蔭と対戦。公式戦連勝を29で止める大きな勝利を収めて近畿の頂点を勝ち取った。
このチームをけん引する投手陣は、昨夏の甲子園でも好投を見せたエース右腕の塩路や昨夏甲子園のマウンド経験がある二刀流右腕の武元だ。
エース右腕の塩路は140キロ台前半のストレートを軸として、カーブやカットボールなどの変化球を自在に操る投球が持ち味の投手だ。桐蔭との決勝戦では2失点完投勝利を見せている。
一方の武元も2試合に登板し、計9回を投げ無失点。投手陣が全5試合で喫した失点はわずかに5点と安定した投球を見せている。
また、1試合平均9得点をマークした強力な攻撃陣も揃っている。全5試合で9本塁打を記録し、決勝では4本塁打が飛び出すなど、一発攻勢で桐蔭を圧倒した。一発が打てる打者がこれだけいる打線は脅威的だ。
史上7校目となる夏の甲子園連覇へ、挑戦に期待したい。
2022年夏 和歌山大会結果
2回戦:7対0 田辺、3回戦:7対0 向陽、準々決勝:15対1 日高中津、準決勝:9対2 和歌山南陵、決勝:7対2 桐蔭
大阪 大阪桐蔭 2年連続12回目
3度目の春夏連覇へ
大阪大会全7試合で54得点で失点は1と圧倒的な実力を見せている。
7試合で被安打20という抜群の安定感を見せた投手陣をけん引するのがこの夏に150キロを計測した背番号10右腕の別所だ。別所は4試合で20イニング登板し、21奪三振、被安打3の無失点で完璧に抑えた。
また、エース右腕の川原は最速148キロの角度のある直球とともに制球力も兼ね備える。そして、川原とともに高校日本代表の1次選考に残った最速148キロ左腕の前田は決勝の履正社戦に先発。立ち上がりはやや制球が乱れていたものの、2回以降は修正力を見せ、7安打されつつも8回を無失点と抑えて優勝に導いた。
他にもセンバツは怪我によりベンチを外れていた左腕の小林やセンバツ優勝メンバーの一人で最速145キロの2年生右腕南もいる。
今春のセンバツでは4試合で11本塁打、51得点と圧倒的な打力を見せつけた打撃面は、チームトップの打率5割をマークした鈴木が下位打線を担い、勝負強い4番の丸山や俊足強打の5番海老根もいる。さらに、プロ注目捕手の3番松尾は、大阪との4回戦から3打席連続本塁打を記録するなど調子を上げている。また、捕手としてもキャッチングやリード面でも成長を見せた。
星子主将を中心に、打倒大阪桐蔭と向かってくる相手に対してどのような試合を見せるのか引き続き注目したい。
2022年夏 大阪大会結果
2回戦:10対0 大手前、3回戦:7対1 関大北陽、4回戦:6対0 大阪、5回戦:8対0 東海大大阪仰星、準々決勝:8対0 大阪電通大高、準決勝:8対0 上宮、決勝:7対0 履正社
兵庫 社 初出場
地元兵庫で魅せる公立旋風
準決勝で涙を飲んできたが初の決勝戦で夏の甲子園を決める。
兵庫の公立校ではありながらも、県大会では上位進出の常連校。ただ、過去の夏の大会では9度準決勝の大きな壁に阻まれてきた。
昨秋の県大会で初優勝を飾るも、近畿大会初戦で敗退しセンバツ出場を逃した。そしてこの夏初めて決勝へ進出し、相手は昨夏の甲子園ベスト8に進出している実力校神戸国際大付と対戦した。
決勝戦も決して楽な戦いではなく、両者一歩も譲らないまま延長14回まで進んだ。そしてタイブレークの末に神戸国際大付を破り、初の夏甲子園への切符を手にした。
この快挙を成し遂げた原動力は、安定した守備力にある。チーム防御率は0.73と抜群の安定感を誇り、失策は7試合で4つに抑えた。
特に投手陣は2枚看板の芝本と堀田の3年生右腕が主軸をなった。芝本は最速140キロ台後半のストレートを武器に打者をねじ伏せ、14回を投げて自責点1。堀田はチーム最多の5試合に登板し、30回を投げて自責点4をマーク。明石商との準々決勝では、被安打1の完封勝利をあげている。
攻撃陣は全7試合で46得点を叩き出した得点力が持ち味で、要となるのが打率.520、12打点、5盗塁をマークした3番の福谷だ。準々決勝では決勝の本塁打を放ち、決勝では延長14回のタイブレークに試合を決める2点適時打を放つ勝負強い打撃も売りの選手。
部員65人全員で挑む夢の夏舞台。公立旋風を巻き起こしてほしい。
2022年夏 兵庫大会結果
2回戦:5対3 飾磨工、3回戦:12対0 篠山産、4回戦:8対0 尼崎西、5回戦:8対0 科学技術、準々決勝:2対0 明石商、準決勝:5対1 長田、決勝:6対3 神戸国際大付